こんにちは、タマイです。
先週に引き続き、今日はドリズルケーキをご紹介したいと思います。
ドリズルdrizzleは“霧雨”という意味の英語ですが、それ以外にも“(液体で)湿らせた”という意味があります。
ドリズルケーキと言えば、一般的にはシロップなどを染み込ませて、仕上がりがしっとりとしたケーキのことを指します。
シトラス系が多いケーキですが、ドリズルしてあればどんなものでも一応はドリズルケーキになります。
イギリス菓子としてはレモンドリズルがもっとも古典的で有名なケーキだと思います。
今日ご紹介するセントクレメントケーキは、オレンジとレモンを使用したドリズルケーキになります。
このケーキの由来は、イギリスの童謡“Orange and lemon”からきています。
この歌はフォークソングやゲームの音楽としても使われていて、韻を踏みながらロンドンシティー周辺の教会を順番に挙げていきます。
その中の一つがセントクレメントです。歌詞はこんな感じ。
“Oranges and lemons,
Say the bells of St. Clement’s.”
いくつかバージョンがあるようですが、調べた限りでは、セントクレメントの部分は同じようです。
この歌詞から誕生したのがセントクレメントケーキ。
その歌詞の通り、オレンジとレモンを使ったドリズルケーキです。
このケーキを作ることになったきっかけは、私が語学学校を修了するクラスメートのために、何かお菓子を作りたいとウェンディーに言ったことでした。
そのとき、ウェンディーのキッチンには果物があふれていて、なんでも使いたい放題だったのですが、特に熟れすぎたバナナと古くなったサツマが限界を迎えそうになっていました。
私はもちろんバナナを使って、バナナケーキを作るつもりでした。すでに何回も作っているし、そのおいしさは折り紙付き。それに、正直サツマを使ったお菓子が全く想像できなかったからです。
ちなみに、この“サツマ”。なんのことだかわかりますか?
実は、日本のミカンのことなんです。
実際に薩摩から来たものなのかはわからないし、おそらく違うと思いますが、何故か日本のミカンをサツマ(発音はサシューマに近いと思います)と呼んで、ウェンディーのフルーツバスケットに頻繁に登場していました。
私にとってミカンといえば冬にこたつで食べるもの。まさかイギリスでそれを使ってお菓子を作るなんて考えてもみませんでした。
さて、私は何も言わなかったし、当然バナナケーキを作る気でいたのですが、ウェンディーはサツマを使うことを勧めてきました。
単純にバナナはスムージーに使いたいからかなぁ、とその時は思ったのですが、急にウェンディーが「セントクレメントケーキができるじゃない!」と言って、歌を歌い始めたのです。
本当に突然だったので、瞬間的に少し引いてしまったのですが、よくよく考えればせっかく新しいイギリス菓子を作るチャンス!早速セントクレメントケーキを作ることにしました。
レシピはレモンドリズルケーキとほとんど同じです。
レモンの一部をオレンジ、私場合サツマに置き換えて作ります。
すでにお気づきと思いますが、正確に言えば私が作ったのはセントクレメントではないんですよね。サツマを使ったので。
でもオレンジの仲間、ということで良しとするイギリス人のおおらかさです。
セントクレメントケーキ Saint clements cskes
無塩バターまたはマーガリン…110g
カスターシュガー…110g、シロップ用に75g
卵…2個
セルフレイジングフラワー…150g
ベーキングパウダー…小山盛で1tsp
オレンジゼスト…3~6個分(サイズによる。小ぶりのミカンなら6個)
オレンジジュース…3~6個分(サイズによる)。シロップ用に60mL
レモンジュース…30mLほど
①室温に戻したバターと砂糖を、白っぽくふわっとするまで混ぜる。
②溶いた卵を少しずつ加えてよく混ぜ、レモンジュースも加える。
③小麦粉とベーキングパウダー、オレンジゼストを加え、よく混ぜる。
④2ポンド/900g用のローフティン(パウンド型)に入れ、180度に熱したオーブンで約35分焼く。焼いている間に、シロップ用の砂糖とオレンジジュースを火にかけ、シロップを作っておく。
⑤焼き上がりを確認したら、熱いうちに串などを指して全体に穴をあけ、シロップを全体に注いで染み込ませる。
オレンジにしてもサツマにしても、とてもいい香りのフルーツですが、レモンに比べると劣るところがあります。なので、レモン果汁をケーキに、オレンジ果汁をシロップに多めに使うことをお勧めします。
仕上がりはほんのりとオレンジとレモンの香りを楽しめるケーキになると思います。
もちろんお好みでいろいろ試してみてください。
余談ですが、Orange and Lemonの歌を使ったゲームを調べてみたところ、日本の”かごめかごめ”と全く同じ遊びでした!
直行便で11時間もかかるはるか遠い国で、全く同じ遊びがあったなんて面白いですよね!
新しい発見でした!
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