こんにちは、玉井です。
今日ご紹介するお菓子は、レモンドリズルケーキです。
というのも、少し前に母のお友達のミカン農家さんから大きなレモンをいくつかいただいてきたので、そうだ!レモンドリズルケーキを作ろう!となったからです。
このケーキ、本当に大好きなケーキで、イギリス滞在中最も多く作ったケーキかもしれません。ビクトリア・スポンジと同じくとっても簡単で、レモンのさわやかな酸味を存分に楽しめるケーキです。
何もしなければ素朴でシンプルな日常のケーキに、アイシングやレモンピールなどで飾り付ければ特別なケーキにもなる、万能ケーキでもあります。
大好きなケーキですから、もちろん謂れや歴史などを調査してみたのですが、成果はあまり芳しくなく、いつどうやって現れたかはわかっていない、という説明がほとんどでした。
なので、一つだけ、ウィキペディアに書かれていた説をご紹介したいと思います。
1851年、エリザ・レスリーというアメリカ人女性の料理と家政についいて書かれた本が発行されました。
この中で、彼女はレモン2個を使用したパウンドケーキのレシピを公開しています。
おそらくこれが最初のレモンケーキのレシピの一つではないか、という説です。
ただしこういった、どれが最初のレシピか、という問題には常に疑問符が付きまといます。
もちろん私たちはそのルーツを調べることはできますが、どれがオリジナルかということを決定するのはほぼ不可能だと思うのです。
というのも、調査できる過去のレシピのほとんどが、刊行物だったり記録書だったり、正式に公開されたものがほとんどだからです。
古いものならそれだけ、その文献は王族や貴族がもとになっています。
ビクトリア・スポンジのように、女王が由来の、身元の確かなお菓子もたくさんありますが(とは言っても、名付けられる前のレシピがどこから来たのかはよくわかっていません)、レモンケーキやアップルクランブルのようなお菓子の多くは、家庭の主婦が身内のためだけに試行錯誤してできた、という場合も多く、そういったものは家族伝来として子供に受け継がれていくか、消えてしまうかのどちらか、ということの方が多いのではないかと思うのです。
レモンケーキに関して言えば、世界中に似通っていたり全く違っていたり、「レモンケーキ」と称されるケーキはたくさんあります。
これは自分の国の伝統的なお菓子だ、と主張する人たちもいます。
私に言えるのは、いつの時代でもアイディアというのは同時多発的に起こることがあり、ケーキなどの材料が限られているお菓子はそういったことが起こりやすいのではないか、ということです。
というわけで、レシピのオリジナルがいつどこでどうやって発展してきたか、ということはわかりませんが、少なくとも私たちはメインの材料であるレモンの歴史を追うことはできます。そこにこのケーキの歴史を知るきっかけがあるかもしれません。
まず、レモンはインドのヒマラヤ山脈のふもとで最も早くに栽培が初められたと考えられています。そして、アラビア語の文献から、おそらく10世紀よりも前に中東にまで広がっていたようです。レモンは珍しいものでしたが、徐々にローマ帝国で知られるようになっていき、後に南イタリア周辺のヨーロッパに広がっていきます。
ただ育てていた、という意味では、もしかしたら1世紀よりも前にヨーロッパにたどり着いていたのではないか、という説もありますが、あったとしてもそれはとても珍しく、大規模に行っていた栽培ではないということです。
15世紀になると、レモンはヨーロッパで人気が高まり、15世紀の終わりについにアメリカ大陸にまで広がっていきました。
そして今では108を下らない国々でレモンは栽培されています。
レモンは私たちの生活の中で、必需品ではないにしろ、重要なポジションを占めていることは確かです。レモンは多くの料理や飲み物に使われているだけでなく、リラクゼーションや医療に用いられることもあります。
医療が今ほど発達していなかった時代、人々はレモンが壊血病などの病気の治療に効果があると信じていました。今でも多くの国でレモンは私たちの食事によい影響を与えると信じられています。
結局お菓子とのつながりはわかりませんでしたが、初めは食材というよりは薬として用いられていたのでしょうか。とすれば、お菓子に使われ始めたのはもっと後、例えば先に挙げた説のように1800年代に誕生したのかもしれません。
詳しくわかったら、またここに書いてみようと思います。
今日のレシピは言わずもがな、ウェンディーのレシピです。
レモンドリズルケーキ Lemon drizzle cakes
無塩バターまたはマーガリン…110g
カスターシュガー…110g、シロップ用に75g
卵…2個
セルフレイジングフラワー…150g
ベーキングパウダー…小山盛で1tsp
レモンゼスト…レモン3個分
レモンジュース…レモン2個分、シロップ用にもう2個分
①室温に戻したバターと砂糖を、白っぽくふわっとするまで混ぜる。
②溶いた卵を少しずつ加えてよく混ぜ、レモンジュースも加えて混ぜる。
③小麦粉とベーキングパウダー、レモンゼストを加え、よく混ぜる。
④2ポンド/900g用のローフティン(パウンド型)に入れ、180度に熱したオーブンで約35分焼く。焼いている間に、シロップ用の砂糖とレモンジュースを火にかけ、シロップを作っておく。
⑤焼き上がりを確認したら、熱いうちに串などを指して全体に穴をあけ、シロップを全体に注いで染み込ませる。
レモンの分量はその都度変わってきてしまいますが、大体ケーキに入れるのが25-30mL、シロップ用が60mL 程です。私はあまり甘くしたくないので、砂糖を30-35gに減らして作っています。
ちなみに、レモンを使ったお菓子のさわやかな酸味をイギリスではtangy(タンギー)と表現します。
タンギーなレモンドリズルケーキ、ぜひ試してみてください。
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