イギリスのレシピ1 Recipes in English

こんにちは。

今日は次のイベントのための買い出しに行ってきました。

最近はバターが品薄で入手も一苦労ですが、何よりこの暑さで、車内は冷房を利かせていますがちょっとひやひやしながらの帰り道でした。


材料は出来るだけ国産のものを、と思ってお菓子を作っていますが、冬に向けてバターに関してはそうも言ってられなくなるかもしれません。。。



さて、今週と来週は2回に分けてイギリスのレシピについてのお話をしようと思います。

お菓子作りを普段からされている方は、同じジャンルのお菓子なら材料を見ただけで作り方がわかるのではないかと思います。

でも海外のお菓子ってそれでいいの?って思うような作り方をするものも多いですよね。


というわけで、今週はお菓子の作り方について、です。

順番に代表的な手法を上げていきたいと思います。



まず最初は、「ラブイン Rub in」メソッドです。


言葉の通り「すり合わせて」作るお菓子です。

「Rub in the butter」などと書かれていて、この場合、粉の中に小さくカットしたよく冷えたバターを入れてすり合わせて「ブレッドクラム」つまりパン粉のような状態にします。


冷やしたバターを使うことで層を作り、焼成後サクサクした食感を生み出します。

ご存知の通りスコーンはこの方法で作られ、これによってかの有名な「狼の口」が作られます。


他にも、ショートブレッド、ショートクラストペストリー、その他多くのビスケットでもこの方法が使用されます。



続いて「クリーミー Creamy」メソッド。


こちらは普通のスポンジケーキの方法です。

バターを滑らかになるまで混ぜ、砂糖を加えて白っぽくふわふわしてくるまで混ぜます。


この方法で作られたイギリスのケーキは、大抵少し目の詰まった重たいケーキになります。

有名なものでは、ビクトリアスポンジ、シムネルケーキ、クリスマスケーキ、ダンディーケーキ、といったところでしょうか。


この方法のレシピ、昔のイギリスでは全て木のスプーン1本で作られていました。

ハンドミキサーの誕生より前に作られていたお菓子なので当たり前なのですが、驚くべきは、いまだに木のスプーンで作っている人たちがいる、ということです。


イギリス滞在中、いろいろな人にお菓子を教わりましたが、その中で2回、全工程を木のスプーンで行ったことがあります。


もうすごい重労働!

ケーキを作っているのに全然優雅な部分がない!


それでもちゃんとしたケーキを作れましたが、文明の利器様様だなって思いました。



そんな重労働お断り!なあなたにおすすめなのが「オールインワン All-in-one method」メソッドです。


材料を全て一度に入れて、1分ほどミキサーで混ぜたら型に入れて焼きます。

終了!


この方法は電動ミキサーあってこそなので、本当に簡単です。


正直最初は、こんな方法で本当にちゃんとしたケーキができるの?と思いましたが、イギリスのケーキって日本のスポンジケーキやシフォンケーキのようにふんわり軽くてお口で溶けるーなんてこと絶対にないので、オールインワンでもちゃんとおいしいイギリスのケーキができちゃうんです。

有名なシェフやベーカーも普通にこの方法を紹介しています。


オールインワンは、クリーミーメソッドで作られるほとんどのケーキで応用することが可能です。

ただし、やはりクリーミーメソッドよりかは食感が劣るので、この両方の方法を載せているレシピ本には、「時短方法」というような記載がありました。

時短レシピってやっぱり昔から色々あったんですね。


ちなみに私の大好きなベーカー、マリー・ベリーもこのオールインワンでケーキを作ることが多々あり、昔は時短だったのでしょうが、今では一つの手法として、専用のレシピが作られているようです。



さて次はよりモダンな手法「泡立て Whisk」て作るお菓子です。


ここで初めて文明の利器が登場します。


そう、泡だて器です。


実は先ほど紹介したクリーミーメソッド、もともとはミキサーなどを使って泡立てる方法とは別の手法として扱われていました。

今ではオールインワンと対比してクリーミーメソッドと言っていますが、実際泡だて器を使って混ぜることをwhiskというので、クリーミーとはちょっと異なるのです。


スイスロールなどのふんわりさせたい生地に用います。

先述のクリーミーメソッドのケーキはすべてこちらで応用できます。

木のスプーンで作るより、もちろん軽くてふんわりした食感に仕上がります。



続いては「溶かして Melted」つくるお菓子です。


こちらはバターを溶かして砂糖などほかの材料と混ぜて作る方法です。

ジンジャーブレッドや先週ご紹介したパーキンがそれに当たりますが、ブラウニーなんかも同じ方法で作ります。


これも本当に簡単な方法ですが、既存のレシピをアレンジするのには注意が必要です。

なぜなら、使うシロップの量や質、混ぜ方で、見た目や食感が大きく変わってしまうからです。

基本的に重たい仕上がりになるのですが、その匙加減が難しお菓子でもあります。



続いてタルト生地、パイ生地です。

こちらは簡単に、イギリス菓子で用いられるペストリーは主に4つに分かれます。

ショートクラスト、フレイキー、ラフパフ、パフペストリーがそれに当たり、これにセイボリーのみで使われるホットウォータークラストを入れると5種類になります。


ショートクラストペストリーは先ほど書いた通りラブインして作る生地で、カスタードタルトやレモンメレンゲパイ、アップルパイなどに使われます。


フレイキーペストリーは、ショートクラストとパフペストリーの良いとこ取りのような方法で、油脂分を4つに分け、その一部をラブインし、別の一部を伸ばした生地に少量ずつ落としていき、折りたたんでラミネーションを作っていきます。

ラフパフペストリーはバターを小さめにカットし、粉類に加えたら、ナイフで切るようにざっと混ぜ、そこに水分を加えてひとまとめにして休ませます。そこから薄く延ばしてラミネーションを作っていきます。

最後はパフペストリー。使用するバターを板状に薄くたたいて伸ばし、先に作っておいた生地を伸ばして板状のバターを包み、伸ばす→折りたたむ→冷やす、を繰り返すことでラミネーションを作っていきます。


これらはあらゆるパイに使われ、エクルズタルトやミンスパイに使われることもあります。



お菓子作りに使われる手法はこれでほぼ網羅したといっても過言ではないと思います!

ここにロイヤルアイシングやシュガーペーストなどのイギリス伝統工芸を使うと、ちょっと地味な見た目のイギリスのケーキたちが、王室のお茶会に出ても恥ずかしくないような優美なお菓子に早変わりします。



いかがでしたか?

単純そうに見えるイギリス菓子にも、こんなにたくさんの技術があるんですよー(^▽^)/


次回はレシピの書き方や単位についてお話ししたいと思います。

それではまた~♪

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

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