パーキン Parkin

こんにちは!


毎日暑い日が続いていますが、体調管理は大丈夫でしょうか?


典型的な近年の日本の夏!という感じですが、こんなに暑い日が続くと、イギリスの涼しくて乾燥した快適な夏を思い出します。



さて、こんな夏真っ盛りの時期にご紹介するきょうのお菓子は、パーキンという、本来11月に食べられる伝統的なケーキです。


なぜこんな夏にご紹介するのかというと、私が実際にイギリスでこのお菓子を教わったのが、7月の終わりごろだったからです。


私が11か月のイギリス滞在を終えたのが8月下旬だったので、7月にはウェンディが日常的に作っているお菓子は大方教えてもらっていました。

それでもまだ何かないか、と聞いていた時に思い出したのがこのケーキです。


パーキンは、ジンジャーブレッドのようにジンジャーとトリークルなどの味の濃い糖蜜を使ったケーキで、一般的には冬の間に食べられるものなので、季節的にはまったく的外れなんですが、何か伝統的でよく作られているものがないか、と頭を絞って考えてくれたのだと思います。


というわけで、私も夏真っ盛りの8月にこのお菓子をご紹介したいと思います。

パーキンは伝統的にはオートミールとブラックトリークルと呼ばれる黒い糖蜜を使って作られるケーキで、北イングランド、特にヨークシャーのリーヅのあたりが強く結びつけられることが多いようです。


このパーキンというお菓子は、500年以上の時を経て大きく変化してきました。


もともとは貧困層の食べ物で、小麦よりもオーツ麦が主流の地域で生まれました。


1820年ごろまでは、そういった貧しい人々はベーカリーへ行く足も、家にオーブンもなかったため、基本的にグリドルやベイクストーンと呼ばれる直火に置く天板のようなもので作られていました。

甘味料も貴重な時代ですから、お祭りのときだけ特別に、ハチミツを加えて甘くしていたようです。


現在のレシピでは重要な位置を占める、モラセスやトリークルなどの糖蜜が使われるようになったのはずっと最近のことで、1650年に砂糖がイギリスに輸入されるようになり、その精製途中で作られるモラセスが一般に普及されるようになってから、ということです。

残念ながらはっきりとした時期まではわからなかったのですが、1800年代に入ってからのようです。


トリークルはパーキンの味を決めるうえでとても大切な材料ですが、最も重要なのはオートミールになります。


特に、いいパーキンはフレッシュなオートミールで作られる、といわれるように、11月の第一週目にオーツ麦の収穫が終わると、パーキンの季節で、この時期から冬の間楽しまれることになります。


11月といえば、イギリスでは「ガイ・フォークス・ナイト」が有名ですね。

パーキンは伝統的にこの日に食べられてきました。


はっきりとした理由はわかりませんが、一つはガイ・フォークス・ナイトが11月5日、ちょうどパーキンの作られる時期と重なること、ガイ・フォークスがヨークシャー出身だったことが関係しているようです。

19世紀半ばに、トリークルトフィー、焚火で作る焼きジャガとともに、パーキンはこの日の伝統的な食べ物として定着していったとされています。


実際にこの記事を書くにあたっていろいろとブログなどもみましたが、子供のころのガイ・フォークス・ナイトの記憶の中で一番にパーキンを思い浮かべる人も少なくないようです。


さて、パーキンを初めて作った方は、その焼き加減に不安になるのではないかと思います。


というのも、パーキンはハードケーキと呼ばれ、焼き上がりは硬く、それほどおいしいとは言えないケーキだからです。


パーキンを作るうえで最も重要なことは、焼いてから最低3日間は機密容器に入れるなどして休ませること。

そうすることで、パーキン特有のちょっとねっとりとしたモイストな食感と味が生まれます。


このお菓子は他のイギリスの伝統的な冬のお菓子同様、保存性にも優れているので、1回焼けば(もし残しておけるのなら)冬中楽しむことができます。



それでは、真夏のイギリスでウェンディ―に教わったパーキンのレシピをご紹介します!



パーキン Parkin

A)バター・・・110g

  ブラウンシュガー・・・110g

  トリークル・・・55g

  ゴールデンシロップ・・・200g

B)オートミール・・・225g

  セルフレイジングフラワー・・・110g(薄力粉とベーキングパウダーで代用)

  ジンジャーパウダー・・・2tsp

  ミックススパイス・・・1tsp(シナモン、ジンジャー、クローブ、ナツメグで代用)

C)卵・・・2個

  牛乳・・・1tbsp.


(1)Aの材料を少し大きめのソースパンで溶かす。

(2)溶かしたAにBの材料を加える。

(3)Cの材料を混ぜ合わせ、A,Bに加える。

(4)約20cm四方の紙を敷いた型に流しいれ、140℃で約1時間半焼く。

(5)(ウェンディのレシピでは)最低1日置く。


以前お話ししたかもしれませんが、ミックススパイスはイギリスではどこのスーパーでも手に入れられるものです。

私は自分で配合を決めて大量に作っていますが、小さじ1杯のために混ぜ合わせるのはもったいないので、合わせて小さじ1になるように、上の4種類のスパイスを入れるといいと思います。

その際、シナモン、ジンジャーがほかの2つスパイスの3倍から4倍になるようにしてください。特にナツメグは入れすぎないように注意です!


もう一つ、手に入りにくい材料がトリークルとゴールデンシロップだと思います。

この2つも重要なカギです。

できることなら通販サイトなどで購入してほしいです。


もちろん、”代用品”で調べればいろいろな提案があると思います。

でもやっぱり伝統的なイギリスのパーキンを作るのなら、この2つのシロップは欠かせない材料だと思います。



もしジンジャーブレッドがお好みでしたら、このパーキンもきっとお気に入りになると思います!

ぜひ今年の冬に作ってみてください~♪



余談ですが、Parkinという名前は、ヨークシャーでは人気の姓だったそうです。Peterという意味だとか。ワーキングクラスの男性が栄養のある食べ物としてよく食べていたそうなので、名前の由来はParkinさんかもしれませんね~♪

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

0コメント

  • 1000 / 1000