イギリスのレシピ2 Imperial units

こんにちは。


今日は先週に引き続き、イギリスのレシピについてお話しします。

私はレシピ本を集めるのが趣味なのですが、最近は特にイギリスのレシピ本、それも古かったりセカンドハンドだったりするものに特別興味があります。


幸いなことに、イギリスにはチャリティーショップがいたるところにあるので、ものの良し悪しはともかく、たくさんの古い本に出合う機会があります。

もし欲しい本が決まっていれば、アマゾン.ukで探せばお手軽に手に入れることもできます。



ただ困ったことに、古い本のほとんどがインペリアルユニットが使われていて、つまりメートル法のグラムやリットルで書かれていないんです。


インペリアルユニットは直訳すると帝国単位、非メートル法やイギリス単位(正確には1826年に帝国単位に置き換えられる)とも呼ばれていた単位のことで、とてつもなく長い歴史を持つ単位系です。


難しいことはあまり言いたくないので簡単に言うと、紀元1世紀にブリテンがローマの植民地となった時に、古代ローマの測定単位を使用したことが、このイギリスの測定法の原点とされています。

その後5世紀にグレートブリテン島の南部から侵入してきたゲルマン系のアングロ・サクソンの影響で現在の北ドイツで使用されていた単位(フィートなど)が使われるようになります。しかし、依然ローマ時代の単位系の一部も使われており、1300年ごろにイギリス独自の測定単位の法律が制定されますが、これは、アングロ・サクソン系とローマ系の妥協案だったのではないか、という話もあるそうです。


その後、測定単位の基準は少しずつ変わっていきますが、1824年にイギリスの土量衡法によって帝国単位が定められ、それ以降旧イギリス連邦諸国またはイギリス帝国全域で使用されるようになります。


20世紀後半には旧イギリス帝国のほとんどの国がメートル法に移行しますが、イギリスを含め、カナダなどの一部の国でいまだにこの帝国単位は使われています。



現在は世界的に見てもメートル法の方が一般的、というか多くの国で使われているので、イギリスでグラムやメートルを使っても伝わらない、ということはありませんが、それでも特に年齢が高くなるほど、帝国単位の方を日常的に使っているのではないかと感じました。


というわけで、最近のレシピはたいていがメートル法と帝国単位の両方を記載しています。

それなら全部メートル法に統一したらよくない?と思うかもしれませんが、そこはイギリス人には譲れないところなんでしょうか。

レシピによってはアメリカ式にカップで計量する際の数字も書かれています。



さて、話を戻しますが、何が困るのかというと、古い本ではレシピの単位がポンド(lb)だとかオンス(oz)だとかで書かれていることなんです。


現在はインターネットとグーグルのおかげでなんでも簡単に調べられるので、換算するのも難しいことではないのですが、やっぱりいちいち面倒くさいのと、実は少しだけ注意が必要なことがあります。


というのも、参考にする資料によって、換算値に若干のずれがある場合があるからです。

国よって丸め方が違うから、ということもあるのかもしれませんが、私がいくつか調べたところ、最大で5gのずれがありました。コンマいくつなら大した問題ではありませんが、5gは少し大きな誤差です。

もし何かを参考にして換算するのなら、いくつか見比べたうえで、計算することをお勧めします。


もう一つ気になるのは、イギリスのポンドが示す量は、時代と共に変化してきたということ。

ということは、時代によっては若干のずれがあるのではないか?ということなんです。

レシピの材料は、絶対値ではなく相対値なので、割合さえ合っていればそこまで大きな失敗にはならないのですが、毎回、このポンドは今現在の換算値に当てはめていいのだろうか。。。と思ってしまいます。




ちなみにちなみに、これは全くの余談なのですが、なぜイギリスがメートル法を使わない(完全に移行しない)のか、なぜイギリスは左側通行なのか。

気になったことはありませんか?


これは全くの噂なのですが、イギリスは島国で、かつて大英帝国と言われるほどに広大な領地を世界中に持っていました。

まさにイギリスの天下、という時代が続いた後に、時代の流れが変わり、植民地の時代は終わります。

イギリスは一つの国として、ほかの国と同じ立場になったわけですが、イギリスはヨーロパ諸国と同じことをしたくなかったんですね。

なので、世界的に車は右側を通るのに対して、イギリスでは左側、世界中でメートル法が主流となる中で、頑なに帝国単位を貫いているのです。

本当かどうかは分かりませんが、なんとなくイギリスらしいなぁと思ってしまうのは私だけでしょうか。



さて、いかがでしたか?

今回はイギリスの単位系についてのお話でした。

ミセスビートンの家政書や、アガサ・クリスティー、シャーロックホームズの時代のレシピはみんな帝国単位で書かれていると思います。

オリジナルレシピで再現料理やお菓子を作ってみるのも楽しいかもしれませんね♪



ついでですが、イギリスだけでなく、英語圏の料理番組やYouTubeをみていると決まって出てきて、なんだそりゃって思ってしまう言葉があります。


それは「A good pinch of salt」という言葉。


え?Goodってどういう意味??


言わんとしていることはわかるのですが、すごいしたり顔で言われると「えぇ~…」ってなります。



下の秤は4年近く前に買った、イギリスの秤です。もちろんデジタルのものもありますが、注目すべき点は、この秤、グラムとオンスが両方量れるんです。

そこまでして両方使うのか、と思いますが、思わぬ方向に突き進んでいくイギリス。改めて好きだなぁと思いました。

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

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