ジャムタルト Jam tarts

こんばんは、玉井です。


今日は少し遅くなってしまいましたが、定期更新目指して張り切っていきます!

今日ご紹介するお菓子は、ジャムタルトです。

ジャムタルトとは、その名の通りタルト生地にジャムを塗って焼いたシンプルなお菓子です。

私がどこでこのお菓子のことを知ったのかは覚えていませんが、渡英前、私の考えるジャムタルトとは、イギリスで最も人気のお菓子の一つで、カフェやティールームに行けば必ず見つかるもの。もちろんイギリスのレシピ本を見ればスコーンなどと同じようにすぐに発見できる、一番シンプルなイギリスの焼き菓子でした。


しかし、11か月のイギリス生活の中で、カフェやベーカリーでジャムタルトを目にすることはついぞありませんでしたし、レシピ本などでも見つけることはできませんでした。


ウェンディーにこのことを話すと、さすがは料理好きの元レストランシェフ。面白いことを話してくれました。


「ジャムタルトは今でも人気のお菓子よ。特に子供たちは大好きね。でもカフェやティールームで出されるような特別なものではなくて、今ではもっとホームメイドのお菓子になってきてしまったわ。」


実際に、ジャムタルトのみを特別に作ることはあまりなく、例えばパイやキッシュを作ったあまりのペストリーを無駄にしないために、ジャムタルトを作ることが多いようです。


私が最初にジャムタルトを作ったのは、ウェンディーが夕飯にキッシュを作ってくれたある日のことでした。

私はいつものようにウェンディーの真横でノートを片手に、おしゃべりをしながらウェンディーの料理のメモを取っていました。

いつものように「今日の夕飯はキッシュだな」くらいにしか思っていなかったのですが、キッシュをオーブンに入れた後、振り向いたウェンディーが「余ったペストリーでジャムタルトでも作る?」と言ったのです。


できたタルトはたったの6個。その時あったジャムを使って、とっても簡単にできてしまいました。

でも夕食後のデザートとして出されたそれは、ジャムがキラキラしていてとても特別なものに見えたし、アルフレッドは大興奮して食べてくれました。


こんな感じに、ジャムタルトは、現在ではペストリーのあまりで作るような、とてもシンプルで特別とは言い難いお家で作るお菓子の一つです。特別なレシピが見当たらないのも当たり前。ペストリーとジャムさえあればすぐにできます。

しかし、誕生当時、ジャムタルトはそれはそれは高級なお菓子だったのです。


ジャムタルトの誕生は砂糖の流通と関係していると言われています。

18世紀から19世紀にかけて、それまではあまりにも高価で入手も困難であった砂糖が、高価ながらも手に入れることができるようになると、現在のような砂糖をふんだんに使ったジャム作りが可能になりました。このジャム作りの発展とともに、ラグジュアリーなお菓子としてジャムタルトが誕生したと言われています。

高価な砂糖を使って作った高価なジャムを使って作るのですから、ジャムタルトは当然、とても贅沢なお菓子でした。

それ故に、当時、この高価なお菓子をお茶の時間に食べることは、貴族の間では一種のステータスだったようです。


想像するとちょっと面白いですよね。

今では普通の家庭のお菓子になってしまったジャムタルトが、貴族のお茶の時間に満を持して登場するわけです。

お茶の時間に御呼ばれされたゲストたちはみんなざわついて「まあ!」とか「おぉ!」とか言っていると、女主人が「なんでもありませんのよ」みたいな顔をしてすまして、胸の内では高笑いしてるんです。

それが今では簡単にささっと作れてしまうんですから、産業革命と経済の発展に感謝しなくてはですね。


さて、今日のレシピはジャムタルトですが、ジャムタルトのレシピ、というよりはショートクラストペストリーのレシピです。

ジャムは市販のものでも手作りのものでも、何でもお好きなものをご使用ください。

私はオーソドックスにイチゴジャムやラズベリージャム、マーマレードを使うことが多かったのですが、ゆずジャム、ミルクジャム、紅茶のジャムなど、変わり種のジャムもいろいろ試してみました。

結論は、パンにつけておいしいジャムはなんでもOKです!


ジャムタルト Jam tars

 ショートクラストペストリー Shortcrust pastry

  薄力粉…225g

  バター…50g

  ラード…50g

   *バターとマーガリン、バターのみなど、変更可能。

  塩…一つまみ

  よく冷えた水…約30mL

 ①薄力粉、塩、油脂を指ですり合わせ(ラブイン)、粉チーズのような状態にする。

 ②大さじ2杯ほどの水を加え、ディナーナイフで切るように混ぜる。

 ③ある程度混ざったら、指先でまとめるようにして少しこねる。この時、水分が少なすぎてまとまらなければ少しずつ水を足していく。(少しボロボロした生地に仕上がるはず。入れすぎに注意。)

 ④小麦粉を振った台の上で薄く延ばす。だいたい2㎜厚くらい。ミンスパイ型やマフィン型に合わせてカットする。

 ⑤お好みのジャムを少量入れ、180℃のオーブンで10-15分焼く。


*ジャムは欲張って入れすぎないように!焼成中にバブリングして、型がジャブでべとべとになります!

*レシピによってはペストリーを一度冷蔵庫で休ませますが、これはあくまで家庭料理なので、そのまま使っています。一度休ませると捏ねることで多少形成されてしまったグルテンがリラックスして、焼いたときの収縮を抑えることができます。

*水分の量について。湿度や気候によって水分量は大きく異なってきます。少なめから始めて、ちょっと足りないかも、くらいで止めてください。


このペストリーはセイボリーつまり食事向けの生地になります。お菓子用にスイートショートクラストペストリーを使ってもいいのですが、ジャムを使うこのタルトには私は甘くない生地のほうが好きです。

いろいろなジャムで試してみてくださいね!

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

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