スコーン Scones

こんにちは、玉井です。

大寒を過ぎましたが、いよいよ寒さのピークといった今日この頃です。

イギリスの冬は寒くて湿度が高い(雨が多い)日が続きます。そんな寒くてみじめな冬の日には、1ポットの紅茶と甘いお菓子が最高!

というわけで、今日はスコーンのお話です。


日本ではマイナーなイギリス菓子の中で、唯一高い知名度を誇るのがスコーンです。

今では多くのカフェ、コンビニ、パン屋さんで当たり前のように見られるようになりましたが、私が小学生の頃は本当に一部の人たちにしか知られていませんでした。

実を言えば私が最初に他人に食べてもらうために作ったお菓子がこの“スコーン”でした。当時大好きだった、各国の“モダン”スイーツを紹介したハードカバーの分厚いレシピブックの中で見つけたスコーンは、薄い三角形で何やら甘いものがたっぷりかかった、今の私が知っているスコーンとは程遠いものでしたが、イギリスのことなど全く知らなかった私が選んで作ったなんて、ちょっと運命的な感じもします。

実際は、ほかのケーキに比べて簡単に作れるから、という理由だったとは思いますが・・・


スコーンはスコットランド発祥であることはスコーン好きなら周知の事実だと思います。

名前の由来は諸説ありますが、よく聞くのはスコットランドの王様の授かる王冠についている”the stone of Destiny”からきているといわれています。一方で、スコーンとは14世紀初頭のオランダ語”schoonbrot”(fine/white bread;白パン)からきていると書かれている文献もあります。でも“伝説の石”のほうが、ロマンがあっていいですよね:)


スコットランドでは当時、スコーンはオーツ麦で作られ、グリドルと呼ばれる暖炉で直接火にかける丸い鉄板の上で焼かれていました。今では小麦を使ってオーブンで焼く方法が主流になっていますが、スコティッシュ・グリドル・スコーンなどで検索すると、一般的に日本で見られるスコーンとは違う写真が出てくると思います。

グリドルはスコットランドでは一般的に使われていたもので、日本の囲炉裏で鍋をつるすように、暖炉の上から吊るされた、先端にフックのついたチェーンにひっかけて使われていました。高さや角度が調整できるようになっており、そこでスコーン以外にも様々な調理がされていたそうです。


ところで、スコーンといえばどんなものを想像しますか?


コンビニやスタバで売られている大きな三角のもの?ホテルなどのアフタヌーンティーで出される、小さくってツルンっとしたもの?口の中の水分を全て持っていかれるようなボッソボソの?それとも果物やチョコレート、ナッツなどいろいろなものが入ったものでしょうか?

今あげたものは日本では大体どこでも手に入れられるスコーンで、渡英前、イギリス菓子に夢を抱いていた私がすべて“偽物”だと思っていたものです。


スコーンとは、プレーンかレーズン入りがトラディショナルで、1個が食べきれないくらい大きくて、紅茶がないと食べられないくらいボロッとした食感だけどパサついてはいない、というのが私のスコーンに対する固定観念でした。


そんな私が留学中に発見したことは、日本で出会っていたスコーンはすべてちゃんとしたスコーンであること(三角形のものはアメリカ発だと思いますが)。

私は、北はヨーク、西はカーディフ、後はロンドンと住んでいたデボン地方、コンウォール地方くらいにしか訪れたことがありませんが、それでもそれぞれのカフェ、ティールーム、ホテル、家庭がそれぞれ違う様々なレシピを持っていて、それこそ星の数ほどのスコーンが存在していました。

もちろん、私が「これぞスコーン!」と思い込んでいたスコーンに出会うこともありました。ババカム(Babbacombe)というクリスティーの生まれた町トーキーの近くの海辺の町にあるティールーム。ここで出されているのは、私のこぶし大の大きさはある、まさに古き良きスコーン!たっぷりのクロテッドクリームとジャムで楽しむクリームティー。しかしそのティールームでも、“売り”のスコーンはジンジャースコーンという少し変わり種で、でもとても美味しくて、行くたびに必ず頼んでいました。


そんな星の数ほどあるスコーンの中で今日ご紹介するレシピは、私の尊敬する伝説的料理本著者であるマリー・ベリー(Mary Berry)のものを、日本で再現したものです。


このブログのタイトル“British bake on”はイギリスBBCのTV番組だった”The Great British Bake Off“をもじったものですが、マリー・ベリーはこの番組のジャッジの一人でした。もう一人のジャッジ、ポール・ハリウッドと司会のスーとメルの4人で進行していたこの番組は、私にとっては夢のようなベーキング・コンペティションで、私は毎回自分が参加するなら・・・と思いをはせながら見ています。

現在は別のテレビ局に買収されてしまい、ポール以外の進行役も変わってしまったためチェックはしていませんが、ウェンディーによればなかなか面白いとのことなので、タイミングが合えば見てみようと思っています。

YouTubeでも一部見ることができたと思うので、興味がある方は是非チェックしてみてください!


シンプルスコーン Simple scones

薄力粉…220g

ベーキングパウダー…2tst

無塩バター…40g (小さなキューブ状にカットし、よく冷やしておく。)

カスターシュガー…25g

卵…1個 (よく溶いておく。1tbspほどを塗り玉用に別にしておく。)

牛乳…100mL (生地の状態を見て調整。)

①小麦粉、ベーキングパウダーの中に、バターを入れ、指先ですりつぶすようにしてラブイン(lab in)する。

②粉チーズのような状態になったら、砂糖を加えて均一になるように混ぜ、溶き卵を加えてディナーナイフなどでざっくり混ぜる。

③牛乳の3/4ほどを加えて、ナイフで同様にざっくり混ぜる。手で生地を一つにまとめる。この時生地が固い、粉が残る様なら、少しずつ残りの牛乳を足す。

④粉をまぶした平らな作業台に生地を取り出し、半分に折りたたむようにして軽く捏ねる。

⑤麺棒で2-2.5㎝の厚さに生地を伸ばし、お好きなサイズのクッキーカッターでくりぬく。(私は5㎝カッターを使うことが多いです。おおよそ10-12個取れます)

⑥別にとっておいた溶き卵を上面にのみ塗り、220℃に温めたオーブンで、約10分焼く。

スコーンは作るのは簡単だし楽しいのですが、文章にするのは難しいですね。

ちゃんと伝わっているといいのですが。。。

ポイントはよく冷えた手で作ることと、捏ねすぎない、カッターは真っすぐに下ろしてひねらない。カット面には塗り玉をしないということです。

私の思ういいスコーンは、よく膨らんでオオカミの口と言われる裂け目がサイドにできること。ここから手で半分に割って、クロテッドクリームやジャムを塗って食べます。


よくどこのスコーンが一番おいしい?と聞かれますが、私は迷わず自分の作ったスコーンが一番おいしい、と答えます。

これは自画自賛などではなく、作り立てが一番おいしいから!ぜひお試しください:)

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

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