こんにちは、玉井です。
寒い日が続きますが、冬のお菓子とはいったん離れて、今日のお菓子はイギリス菓子の定番、ビクトリア・スポンジです。日本ではビクトリア・サンドイッチ・ケーキ、ビクトリア・スポンジ・ケーキとも呼ばれています。
ビクトリア・スポンジは、イギリスではスコーンに次いで人気のイギリス菓子ではないかというくらいポピュラーなケーキで、滞在中本当によく作りました。挟むものはその時々で違いましたが、ジャムとクリームの登場率が高かったと思います。
毎日のおやつからちょっとしたティーパーティー用にも、いろいろな場面で使えるとても便利なケーキです。
このケーキはイギリス菓子の代表格と言ってもいいくらいの位置を占める重要なケーキですが、私にとってもとても意味のあるケーキです。
およそ8年ほど前でしょうか。私が最初にイギリス菓子をちゃんと習ってみたいと思ったとき、それを習える本格的な教室というものはまだあまりありませんでした。何年か探した後に見つけたプライベートスクールは小さいながらもイギリス菓子に焦点を絞ったもので、そのプレレッスンとして体験したのがこのビクトリア・スポンジでした。
正直言ってこのケーキがなければ、ここまで私がイギリス菓子にはのめり込み、留学を決心するに至ることはなかったと思います。
というのも、このケーキのあまりのシンプルなおいしさに感激して教室に通う決心をし、そこでの新しい出会いから、30歳を超えて長期留学をする決心や、仕事を辞める決心をしたからです。
大げさに言えば私の人生はこのケーキとの出会いによって大きく横にそれていったことになります。
これが吉と出たのか凶と出たのか。神のみぞ知る、といった感じですが、そんなことよりもビクトリア・スポンジの話をしましょう。
ビクトリア・スポンジの名前の由来はとても有名で、ビクトリア女王が気に入ってよく食べていたことから名付けられたと言われています。ケーキ自体の歴史はそれよりもう少し前で、一説によれば、1840年ごろアンナ・マリアの提案により始まったと言われているアフタヌーンティーの文化が広まり始めたころに、子供のためのケーキとして誕生したと言われています。
そのころアフタヌーンティーのケーキとしてよく出されていたのが、フルーツを使ったケーキやシードケーキというキャラウェイシードを使ったイギリスの伝統的なケーキでした。
しかし安全面から、こういったフルーツやシードの含まれるケーキを子供たちが食べることは許されていませんでした。そんな子供たちのために出されていたのが、この軽くて安全なビクトリア・スポンジだったのです。
現在ではクリームを挟んでいたり、スポンジにフレーバーを足していたりと様々なバリエーションのビクトリア・スポンジを見ることができますが、私はこのケーキの最大のポイントはスポンジ自体の美味さにあると思います。ただジャムを挟んだだけの本当にシンプルなケーキなのに、食べ始めたら止まらないような中毒性があり、そんなところにビクトリア女王も引かれたのではないでしょうか。
今日ご紹介するビクトリア・スポンジのレシピは、私の通っていた語学学校の事務やレクリエーションの先生をしていたキジーのおばあさんのレシピです。
もうすぐクリスマスというある冬の日、学校のクリスマス会のためにジンジャーブレッドハウスを作ろう、ということでキジーの両親の大きな田舎の一軒家、の隣に建てられた、キジーのかわいらしいお家に生徒数名でお邪魔しました。その時に一緒に教えてもらったのがこのケーキです。もうすっかり忘れていましたが、レシピ通りに作ろうということで、電動ミキサーを使わずに、昔ながらに木のスプーンだけでみんなで交代しながらケーキ生地を作りました。
このころ私は最初のホストファミリーの家になじめず、気分も体調も下がり気味だったので、伝統的な田舎のお家で、伝統的なクリスマスの雰囲気に囲まれながら、伝統的な方法で作る伝統的なケーキがものすごく特別なものに感じました。
そういえば、ちょうどこの日に次のホストファミリーのウェンディーと、滞在前に一度会う約束を取り付け、その出会いが本当に特別なものになったわけなので、そういう意味でもこのケーキは私にとって特別なんだろうなぁと、この文章を書いていてしみじみ思いました。ちなみにウェンディーとのこの電話での会話が、人生初の英語での電話でもありました。
さて、それではお待ちかねのレシピをご紹介しましょう。
セルフレイジングフラワーは今までと同様、大体200g中にベーキングパウダーが小さじ中盛り2杯くらいでいつも作っています。欧米のレシピでお菓子を作る方はご自分のレシピがあると思うので、それを参考にしたらいいかと思います。私のはウェンディーに適当に教わったものなので。。。
ビクトリア・スポンジ Victoria sponges
バター…200g
カスターシュガー…200g
セルフレイジングフラワー…200g
バニラエクストラクト…1tsp(バニラエッセンスなどで代用)
卵…4個
①オーブンを180℃に温め、サンドイッチ型(なければ普通の丸型)に薄く油を敷いて小麦粉をまぶしておく。
②バターと砂糖をクリーム状に混ぜ合わせる。
③ほぐした卵とバニラを少しずつ加えて混ぜる。
④ふるった小麦粉を加える。
⑤オーブンで約20分、スポンジを軽く押さえたときに戻ってくるようになるまで焼く。
⑥完全に冷まし、(1個の型で焼いたときは半分にカットし)お好みのジャムをぬって、粉糖を振りかけて完成!
イギリスではサンドイッチティンという、通常のラウンド型の半分くらいの厚さの専用の型が売られています。日本でも似た型を手に入れることは可能ですが、大きく焼いて半分にカットすればOK!ちなみにパイ型やタルト型とは異なるので注意です。
私は基本的に家にあったジャムをぬりますが、ポイントはジャムをケチらないこと!これはケーキです。甘いのが正解!たっぷりとぬりましょう。
ちなみに、下の写真はウェンディーが作ってくれた私の誕生日ケーキです。
たっぷりのダブルクリームとフレッシュラズベリーがこれでもかっと言うほど挟んであります!
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