こんにちは。玉井です。
今日のお菓子は、バナナケーキです。
なぜイギリスのお菓子を紹介するはずのブログで、2発目がバナナケーキ?と思うかもしれません。
実は私が語学留学を決めた一番の目的は、「実際にイギリス人家庭に住み、そのお家でどんなものが食べられているのかを知ること」でした。イギリスの製菓学校に行かずに田舎の語学学校を選んだ理由も、製菓学校で習うお菓子は1年かけても数個の代表的なイギリス菓子と残りの大部分はフランス菓子系のモダンケーキやブレッドだったからです。そんなことより、できるだけ安く長く一般家庭にとどまりたい!と思った私は、エージェントをほとんど使わずに学校を決め、11か月滞在可能なスペシャルビジタービザを取得しました。また、ロンドンではステイ先がイギリス人家庭でない場合が多いことや、ホストファミリーとの関りが薄いことが多いということを聞いていたので、できるだけ都市部は避けようと、小さな田舎町を選びました。
この試みは大いに当たりで、私のいたトットネスでは、生徒のおそらく100%がイギリス人家庭で生活していたと思います。もちろん家庭のイギリス菓子を習うのが目的であることは留学前から大アピールしていました。
その甲斐あってか、クリスマスごろから住み始めたウェンディーのおうちは、日本でいう小学生と高校生の食べ盛りの男の子2人のいる家庭でした。お父さんはファーマー、お母さんは元ベジタリアンで元シェフ。バックガーデンやフロントガーデンで野菜やハーブを育て、出来る限り毎日季節のものを料理している、私にとっては理想的な環境でした。
いくつかのトラブルはありましたが、そのことでウェンディーにステイ先を変えたほうがいいのではないか?と提案されたときでさえ、つたない英語で必死に絶対ここがいい!と主張して、ウェンディーを感激させたことを覚えています。
そのウェンディーのお家では、子供たちにできるだけスナック菓子や既製品ではなくて、野菜や果物、手作りのものを食べさせようと、常にフルーツボールにはバナナやサツマ(これ日本産のミカンのことなんです!)、ブドウが置いてあり、私も好きに食べていいと言われていました。
ここでようやく登場したバナナ!このバナナ、しかも熟れて黒ずんでグチュグチュいい始めたものが今回の主役になります。
一時期健康にいい(?)と言われて日本でブームになったバナナですが、それとは関係なしに私の好きな果物の一つで、玉井家では常備してる?と言ってもいいくらい、常に家にあるものでした。最近のバナナはなぜか熟すより先にカビが生えてくることが多く、なかなか完熟バナナを手に入れるのは難しいのですが、私が子供のころはだいたい食べるころには黒の斑点がそこかしこに入って、皮がいい具合にしんなりした甘いバナナを食べていたものでした。
ウェンディーのうちで食べていたのも同じで、ちょっと放置しているとすぐに黒い斑点が出てきて、そうなると子供たちは絶対に手を付けず、最終的にはコンポスト行きになっていました。
そこに登場したのが「私」。
実はウェンディーのお家に住み始める前、私は体調を崩し、その時のホストファミリーが必要最低限しか学生に関わらない人たちだったために、かなりネガティブになっていました。学校側に事情を説明し、どこか別のところに住みたいと話していた時、当時のマネージャーが一度次のホストマザーに会ってみないか、と提案してくれたのです。
その時に出会ったのがウェンディーでした。彼女は私と一回り半くらいしか年が離れていないのに、なんだか本当に“お母さん”みたに温かく、話しながら感情的になって涙ぐむ私を力強くハグしてくれました。
そんなことがあったからか彼女自身の性格からか、ウェンディーは出来る限り私と関りを持とうとしてくれ、私の留学の目的を知って、事あるごとに何かしらのお菓子を、自分の手書きのレシピノートやお母さんのパムから受け継いだレシピ本から掘り出して教えてくれたのです。
長くなりましたが、要約すると、捨てられる運命だったバナナたちを、もったいないしAsako(私のこと)もいるし、ちょうどいいからケーキにして食後に食べようか、というだけのストーリーなんですが、このバナナケーキ、ほんっとうにおいしいんです!
熟したバナナを使うだけでこんなにも素晴らしいフレーバーが出せるのか、と驚き、病みつきになること間違いなしのケーキです。
さて、このブログではお菓子の由来や歴史なども紹介していきたいと思っていますが、バナナケーキに関しては割愛しようと思います。
というのも、このケーキは明らかにイギリスの伝統ではないですし、バナナが手に入るあらゆる国で似たようなケーキが作られているからです。
おそらく日本にいても、バナナ“ケーキ”だけでなく、バナナブレッド、バナナローフ、バナナパウンドケーキなど、どこが違うの?というくらい似たものを見たことがあると思います。簡単に言えば、これらのお菓子に大きな違いはなく、カップケーキとマフィンはどう違うの?という質問と同じようです。
私は山ほどレシピ本を持っていますが、同じイギリスでも、ものによってブレッドだったりローフだったり様々でした。
というわけで、ここでは簡単に熟したバナナの手に入れ方をご紹介したいと思います。ちなみに、いろいろ調べてこれは、と思うものを挙げていますが、私自身あまりうまくいった経験がないので、判断はご本人にお任せいたします。
~完熟バナナの作り方~
① 300℃のオーブンで約30分焼く。
② 30秒電子レンジにかける。柔らかくなるまで、30秒ずつ様子を見ながら加熱する。
③ 冷凍庫で保管し、使用前に解凍する。
特に①と②は自己責任でお願いします。ちなみにうちにはかなりの頻度でバナナがあるので、ちょっといい具合に熟してきたら家族に食べないように宣告し、カビて食べられなくなる前にケーキにしています。
バナナケーキ Banana cake
無塩バター…110g
マスカバドシュガー(私はブラウンシュガーを使用)…175g
卵…2個
セルフレイジングフラワー…225g
ミックススパイス…1tsp
*ミックススパイスは日本では手に入らないので、私は独自にシナモン、ジンジャー、ナツメグ、クローブを混ぜて使っています。シナモンとジンジャーを多めにして、ほか二つは香り付け程度がいいかと思います。(なにかおすすめのレシピがあれば教えてください;))
*セルフレイジングフラワーは、中山盛り2tspのベーキングパウダーに薄力粉を加えて225gになるようにしていました。
①オーブンを180℃にセットしておく。2 lb/900gサイズのパウンド型(近いサイズを使用してください)に紙を敷いておく。
②バターと砂糖をクリーム状に混ぜ合わせる。よくほぐした卵を少しずつ加え、その都度よく混ぜ合わせる。
③つぶしたバナナを加えて混ぜ、残りの粉類を加えて、切るように混ぜる。
④40~50分焼き、焼成後10分間型の中で冷ましてから取り出す。
私は日本に帰ってきてからここにクルミを加えることにしました。とってもよく合うので、試してみてください。
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