アーモンドスライス Almond slice

こんにちは!


今日はアーモンドスライスというお菓子をご紹介します。

どういう経緯でこのお菓子を教わったのかはよく覚えていないのですが、このお菓子を教わったころ、私はウェンディーのお母さん、パムの古いレシピを見せてもらっていました。


「見せてもらっていた」というのは、文字通りの意味で、ファブリックデザイナーでもあるウェンディーは、古いパムの手書きのレシピノートを使ったデザインを考案していました。

そこには今はもう手元にないいくつかのオリジナルレシピが載っていて、手書きで使い古して薄汚れたページを布地に印刷した、あまり鮮明ではないそれを「見せて」もらっていたのです。


戦後まもなく、物資がまだあまり十分にない時代のレシピです。ごく僅かでしたが、まさにイギリスの家族伝来の貴重なレシピがそこにはありました。


今日ご紹介するアーモンドスライスはその中からウェンディーが再現したものの一つです。


初めは、アーモンドスライス、なんていうどこにでもありそうなお菓子に歴史なんてあるのかと、特に期待もせずに調べ始めたのですが、その形状や材料から、このお菓子は一般的にはアーモンドベイクウェルスライス又は単にベイクウェルスライスと呼ばれるお菓子と同じだということがわかりました。

そしてそれは、かの有名なベイクウェルタルト、もっと古くはベイクウェルプディングから派生した、なかなかに由緒のあるお菓子ということが分かったのです!



ベイクウェルプディングまたはベイクウェルタルトは、イギリスの伝統的なお菓子と言って過言はないと思います。

イギリスのイーストミッドランドにあるダービシャーという地域の小さな町、ベイクウェルで1800年代に誕生したと言われている、とてもリージナルなお菓子です。


ベイクウェルプディングは、ベイクウェルにあったホワイトホースインで誕生としたと言われています。

イン(Inn)とは、イギリスに古くからある宿泊施設で、下が食事を出すパブ、上が宿泊できるホテルのようになっていました。カントリーサイドでよく見られ、昔の名残からか「〇〇イン」という名のパブは今でもたくさんあります。


そのホワイトホースインにある日、貴族のなどの上流階級の人が訪れ、ストロベリータルトを注文しました。

ここからは少し情報があいまいなのですが、要約すると、オーダーを受けたキッチンのウェイトレス兼アシスタントをしていたアンという女性が、何かの手違いでレシピを間違えて準備(甘くないペストリーを作った)してしまい、それをそのままお客に出したところ、なんと大好評!その後土地の名前をいただくほどこのプディングは有名になっていきました。


ということなのですが、しかし、この物語は1850年代に起こった出来事だとその子孫は信じているため、歴史的に見てこの逸話がベイクウェルプディング誕生につながっているかと言えば実はそうでもないようなのです。


というのも、ベイクウェルプディングに似たお菓子が、1830年ごろにはすでによく知られていたようで、現在のような形のプディング自体も1850年代にはベイクウェル各地で作られていたからです。この逸話の方が数年遅かったという話もありました。

なので、ホワイトホースインの逸話は単にベイクウェルプディングを有名にした一つのきっかけのようなものなのかもしれません。


なんにせよ、こういうちょっとした逸話というのは、真偽はともかく話を盛り上げるのには良い材料ですよね。私も実際今日までこの話が起源だと信じて疑いませんでした。



さてベイクウェルタルト、というのはベイクウェルプディングから生まれたバリエーションの一つです。

資料によると、材料や作り方から、ベイクウェルプディングの方はその名で知られる100年ほど前から作られていたようなのですが、ベイクウェルタルトの方は間違いなくビクトリア時代のお菓子だということです。


タルトの方は、基本的にはショートクラストペストリーのタルトに、ジャム、フランジパンを重ね、スライスアーモンドをちりばめて焼くお菓子です。ジャムはラズベリーが一般的ですが、ストロベリーでもなんでもいいそうです。


このベイクウェルタルトから派生したのが、ベイクウェルスライスです。

基本は同じでショートクラストペストリーの上にジャムを塗りますが、その上にアーモンドで香り付けしたスポンジ生地を広げて焼きます。トッピングにスライスアーモンドを飾るのが一般的のようです


とても簡単にできるお菓子で、難しいのはジャムとスポンジ生地が混ざらないように気を付けて広げることぐらいでしょうか。

私のノートには感想として一言「Soooo yummmmy!!」と書かれていました(笑)



アーモンドスライス Almond Slice

For base

 カスターシュガー…50g

 マーガリン…110g

 セルフレイジングフラワー…175g

 卵の黄身…2個

 水…1 1/2tbsp

For cake

 卵の白身…1個

 マーガリン…50g

 カスターシュガー…110g

 セルフレイジング…110月

 アーモンドエッセンス…少々

ラズベリージャムなど(私たちはブルーベリーを使用)…ベースの上に薄く広げる量


①ベースを作る。すべての材料を混ぜ、23㎝ほどのスクエア型に広げる。

②その上に、用意していたジャムを広げる。

③スポンジケーキを作る。砂糖とマーガリンをすり合わせてクリーム状にする。

④そこに小麦粉、アーモンドエッセンス、卵を加え、よく混ぜる。もしこの時生地が硬すぎるようだったら、牛乳を少しずつ加え、滑らかな生地に仕上げる。

⑤2のジャムの上に気を付けながら4を広げる。

⑥あらかじめ180℃に予熱していたオーブンで20-30分焼く。

⑦焼きあがったら型の中で冷まし、カットして完成!


ウェンディーのレシピでは使っていませんが(アレルギーの子がいるので)、スライスアーモンドをトッピングしてから焼き上げてもおいしいです。


それでは~

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

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