イギリスで出会ったスコーンたち


こんにちは。

イギリス菓子のレシピにも限りがあるので、何か一つテーマを作ってみよう、ということで、今日は私がイギリスで出会ったスコーンについて、お話ししていこと思います。

どうなるか分かりませんが、シリーズみたいに続けていけたらいいな、と思ってます。

特にスコーンを選んだ理由は、もちろん私の大好物の一つだから、というのもあるのですが、イギリスと日本のスコーン事情に違いがあるな、と思ったからなんです。

渡英前も渡英後も、常に感じていることですが、日本では本当にありとあらゆるバリエーションのスコーンを見かけます。しかし、イギリスでそれほどたくさんの種類のものを見かけたか、というと、答えはNOなんです。


ロンドンの最先端のカフェやホテルでどうなのかはわかりませんが、デボンの片田舎では、基本はプレーンスコーンとフルーツスコーン。これはどんなフルーツでもいいわけではなく、必ずレーズン入りのものを指します。

軽食としてセイボリーのチーズスコーンがスープと共に出されるくらい。これも基本的にはチェダーチーズを使ったシンプルなものになります。


私のいたデボンは特にクリームティーの文化が根強いので、プレーンとフルーツの甘いスコーン2種類のみ、又はプレーンのみ、というカフェやティールームがとても多かった思います。



クリームティーとは、スコーンと紅茶がセットで提供される、アフタヌーンティーのミニ版のようなもので、コンウォールとデボンが発祥と言われています。


1800年代にアフタヌーンティーが広まっていったのと同時期にクリームティーの人気も高まっていきました。しかし当初はクリームティーという呼び方には統一されておらず、いろいろな呼ばれ方をしていたようです。

特にクリームティーという名称が今のような形のスコーンと紅茶の軽食を指す言葉として一般化されたのは比較的最近の様で、最も古い記述が1931年9月3日火曜日のCornishmanという地方紙の記事という説が最新のようです。こちらはThe Foods of Englandというサイトで確認できます。


クリームティーはアフタヌーンティーと同様に決まった様式があり、現在もほとんど変わらずにティールームなどで提供されています。


まずはもちろん伝統的なスコーン。大きさはさまざまですが、巨大なスコーン1つの場合と、小さめ(と言っても日本人からしたらかなり大きいと思いますが)のものが2個の場合があります。3個以上、ということはまずありません。

スコーンの種類はお店によって選べたり選べなかったり。私の行った店では、選べないことが多かったように思えます。


このスコーンは必ずポットティー(たいていはイングリッシュブレックファースト)とジャム、クロテッドクリームと一緒に提供されます。


クロテッドクリームはイギリス南西部特有のものすごく濃いクリームで、よく温かいプディングと共に提供されます。

日本でも何社かクロテッドクリームを販売しているところがありますが、デボンでクロテッドクリームを食べたら!もう!日本で食べるものは100%別物だと言い切れると思います。

それほど濃厚なんです。そしてそれをモリモリに盛りつけ(あるティールームでは1つのスコーンよりも多い量のクロテッドクリームがついてきました)、そしてお客はクリームとジャムを全て使い切って食べる!

カロリーなんて概念は捨て去り、現地の人に溶け込んで、これでもかというほどジャムとクリームをつけて食べるスコーンのおいしさと言ったら。イギリスの、特に南西部でしか味わえない幸せではないかと思います。


クロテッドクリームは南西部の特産と言いましたが、では北部ではどうしているのかというと、日本でよく見かけるようにホイップしたクリームと一緒に食べられることが多いようです。

もちろんクロテッドクリームを出しているお店もありますが、デボンやコンウォールで見るような大量のクロテッドクリームが出てくることはないようですね。



さてさて、ここまでイギリスでスコーンと言えば基本は3種類(プレーン、フルーツ、チーズ)というお話をしてきましたが、それでもやはり変わったスコーンに出会うことはありました。

今日はその中から特に印象に残っている2つをご紹介したいと思います。



ます1つ目は、ダートマスのダートマスキャッスルティールームで食べた、セイボリークリームティーです。


クリームティーと言えば通常は甘いものを指すのですが、このティールームではセイボリーとスイーツの2つから選ぶことができました。

セイボリーなのでしょっぱい系のスコーンなのですが、こちらでは何種類かのスパイスを利かせたチーズスコーンに、チャツネとクリームチーズがついたものが出てきました。

チーズスコーンとチャツネは結構ノーマルな組み合わせなのですが、クリームチーズはここが初めだったので、スパイシーなスコーンと共に特に印象に残っています。


実は、我が家ではスコーンにクリームチーズは定番の組み合わせで、クロテッドクリームが手に入らないから、という理由もありますが、ジャムやバターよりヘルシーだし、ということでクリームチーズを使っています。このお店ではセイボリーに合わせていましたが、甘いスコーンにもよく合うので、ぜひお試しください!


このお店のチャツネは赤いトマトとレーズンがメインの酸味の効いたもので、ダートマスのお城の上でダート川を見下ろしながらのティータイムは最高のひとときでした。


そして2つ目が私がイギリスで出会った最高のスコーン、ババカムにあるエンジェルティールームのジンジャースコーンです!


このティールームとの出会いはちょっと運命的なんです。

私は語学学校入学初日からイギリス菓子にしか興味ありませんスタンスをとっていたので、ちょっと異色の東洋人だったんでしょうね。学校のすべての先生、事務のお姉さんたちが事あるごとに気にかけて、いろいろな情報をくれました。

私が入学したときには、偶然ババカムの方に住んでいる事務の方がいて、わざわざこんなところがあると教えてくれたんです。

その情報をもとに、学校のアクティビティーを担当していたキジーが課外授業のかたちで生徒何人かと一緒に連れて行ってくれたのが、このティールームでした。


その時はみんなで違うスコーンをオーダーしてシェアしたのですが、そこで出会ったのがこのジンジャースコーンです。

1㎝角以上ありそうなショウガのシロップ漬けがゴロゴロ入ったそのスコーンは、普通だったらものすごい違和感を感じそうなものなのに、不思議と甘いスコーンとよくあって、一緒に出された2種類のジンジャージャム(!)と一緒に食べるとまさに最高のハーモニーを醸し出すという…。

とにかく、全く未知の味を経験した私は、その後も慣れないイギリスのバスを駆使し、学校の友人を引き連れて、恐らく帰国までに3回は訪れたと思います。


どの国の人を連れて行っても、その伝統的なイギリスの雰囲気からか、かつてイギリスのリビエラと呼ばれたトーキーからトーベイの素晴らしい景観のせいか、みんな気に入ってくれて、私は密かに鼻高々でした。

絶対にまた行きたいティールームの一つです。


というわけで、スコーンの話というよりはお気に入りのティールームの話になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?


イギリスでも確かにいろいろなスコーンが売られています。日本と同じく、スコーン専門店もありますし、ネットで調べればたくさんのバリエーションのスコーンが見つかると思います。

しかし伝統的なティールームではやはり一番シンプルなスコーンが好まれる、のでお店もそれしか出さない、という気風があるようです。


まだまだ紹介したいスコーンやティールームはたくさんあるので、今後も少しずつご紹介できたらと思います。

それでは~

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • Asako Tamai

    2019.05.21 13:23

    @keito-no-shippoコメントありがとうございます!スコーンは焼き立てが一番ですよね!私もシンプルなプレーンが一番好きです😋
  • keito-no-shippo

    2019.05.21 04:31

    こんにちは。 いつも楽しく読ませていただいてます。 スコーン、、、大好きなんです😊 プレーンが一番💕 一時期毎日のように焼いてた頃がありました。(当然ながら太りましたけど) また 作りたくなりました(笑)