ソーダブレッド Soda bread

こんにちは!


今日はお菓子ではなく、ソーダブレッドというクイックブレッドの一つをご紹介しようと思います。

ソーダブレッドはとても簡単にできるおいしいパンです。


混ぜて焼くだけなので、朝食前に焼くこともできるし、基本はシンプルですが、ナッツやシードを混ぜたり、フルーツやスパイスを混ぜたりすれば、いろいろなバリエーションを楽しむこともできます。


ただし、どうしてもパンの代わり、という意味で、味気ないだとか匂いが好きではない、という人も多く、ウェンディーの家では子供たちが好きでないので、日常的に作ることはありませんでした。

なので、今日ご紹介するソーダブレッドは、私がどうしても食べてみたいとねだったため、ウェンディーのお気に入りの料理本の中から見つけてきて、特別に作ってくれたものです。



さて、渡英前にいろいろと無駄に知識を増やしていた私ですが、ソーダブレッドはスコティッシュかアイリッシュの発明だ、と思い込んでいました。しかし、調べてみるとどうやら、もともとはアメリカの先住民がルーツのようです。


15世紀後半にヨーロッパからアメリカへの入植が大幅に増えてきたころ、先住民と移民たちはパンを膨らませるために、ナシの灰やニレ、ブナ、カエデの木などの広葉樹の灰から作られた灰汁を使っていました。


この時作られていたパンが、クイックブレッドの原型と言われています。


そもそもこの”クイックブレッド”とは、膨張剤としてイーストや卵を使わないパンを指し、その中でもベーキングソーダ(重曹)を使ったものをソーダブレッドと呼びます。


いろいろと調べてみると、アメリカ先住民と移民たちにとって、灰や灰汁を使った料理はとても日常的なものだったようです。


灰を使った料理と聞いて私が思い出すのは、子供の時によく読んだ、ローラ・インガルス・ワイルダーの“大草原の小さな家”シリーズです。著者の半自叙伝でもある小説の舞台は1800年代後半の西部開拓時代ですが、この時ローラはこの本の中で、料理について細かな描写をしています。その中の一つが”hominy“という食べ物でした。


ローラによれば、それは引き割りトウモロコシを灰を入れたタライの中でよくもみ洗い、皮がむけたら軟らかく煮て食べるおかゆのようなものだったそうです。


ゴム手袋などない時代ですから、作業はもちろん手。お母さんのキャロラインは、腕まくりをして、手を赤くしながら下準備をしていたそうです。ローラはこういった料理を作ることは、女性にとっては本当に過酷な作業だったと書いていました。


ソーダブレッドは灰の中で洗ったりはしませんが、灰や灰汁を作る(保存しておく)のも女性の仕事だったと思うと、いくら美味しくてもその時代に生まれていなくてよかったな、と思う反面、こういう工夫をしなければおいしい食べ物が手に入らなかった時代に生きていた人たちの力強さを痛感します。



さて、ソーダブレッドのレシピは、1700年代にはじめてアメリカで発行されました。

その後、ソーダブレッドがヨーロッパに渡ってきたのは19世紀に入ってからと言われています。これは、重曹やベーキングパウダーが膨張剤として一般的に使われるようになった時期と同じくらいのようです。


ヨーロッパでソーダブレッドは、アメリカほどの人気を博すには至らなかったようですが、雑誌やベーカリーで「今までのパンより簡単でヘルシー!」と紹介されたため、特にオーストリア、イギリス、アイルランドなどで徐々に人気になっていったようです。



クイックブレッドというと、なんだかパンのみを指すようですが、実は詳しく調べていくと、よく知られているいろいろなお菓子がクイックブレッドに含まれていることがわかります。


例えば、ワッフルやアメリカンマフィン、アメリカンビスケット、パンケーキにスコーン、バナナブレッドもコーンブレッドもそうです。


ソーダブレドの調査はとてもきょみ深く、もしグーグルで“ソーダブレッド”“soda bread”と検索すると、たくさんの写真を見つけることができると思います。

そしてそれらのレシピまでたどり着いたとき、そのほとんどが200年前とほとんど変わらないことに気づくでしょう。

単純だからと言えばそうなのですが、何百年も前に食べられていたものが、ほとんど同じまま現在でも食べられているってすごいですよね!


ちなみに余談なうえ少しマニアックな話になりますが、アイルランドではほかの地域で見られるような膨らんだソーダブレッドを“ケーキタイプ”と言い、それ以外にもフラットなタイプが存在しています。これらは特別にfarl、スコットランドではbannockと呼ばれています。

たぶんこれを最初に見たので、スコットランドかアイルランドが発祥と思ったんでしょうね。


では今日のレシピです!


ソーダブレッド Soda bread


小麦粉…450g

重曹…2tsp

牛乳…400mL

レモンジュース…2-3tbsp.

塩…1tsp


①オーブンは200℃に予熱しておく。

②すべての材料を手早く混ぜ合わせる。

③ドーム状の丸になるようにひとまとめにし、十字にカットを入れる。

④40~45分焼く。



焼きあがったソーダブレッドは、その日のうちに食べることをお勧めします。牛乳とレモンの代わりにヨーグルトを使ってもいいそうです。

小麦粉はレシピではplain flour、つまり膨張剤の入っていない普通の小麦粉を指す言葉ですが、強力粉は使っていなかったので、薄力粉から中力粉でお試しください。


うーん…あまりに簡単すぎて思わずレシピの原本を確認してしまいましたが、やはりこの通りでした。

ハーブやスパイス、ナッツなど、いろいろ試した見てください!

British bake on

イギリス留学中に出会った、イギリスの伝統的な焼き菓子、ローカルビレッジの家庭のお菓子をメインに紹介するブログです。

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